お腹の中で十月十日(とつきとおか)を過ごして無事に生まれてくれるだけで奇跡ですが、
7ヶ月での出産は早産にあたります。
早産のリスクや原因、対策について知っておきましょう。
早産による赤ちゃんへのリスク
妊娠22週~36週までの間に赤ちゃんが生まれてしまうことを早産といいます。
ですので、妊娠7ヶ月(24週~27週)は早産に注意したい時期の始まりとも言えるでしょう。
早産になってしまうと、赤ちゃんが様々なリスクを抱えることがわかっています。
まず低出生体重児になる傾向があるということ。
体重が2500g未満の赤ちゃんを低出生体重児といいます。
低出生体重児のなかでも2000g以上の赤ちゃんは、心身ともに問題が起こるリスクが低くなる傾向にありますが、
体重が2000g未満の場合は哺乳力が弱く、ぶどう糖液や生理食塩水の点滴治療を受けるなどして保育器で養育されます。
命の危険性がある出産時期
早産になる期間のなかでも、妊娠28週が生存率の大きな分かれ目となります。
というのも、妊娠28週というのは赤ちゃんの内臓がほとんど完成に近づく週数であり、
体重も1000gを超えてくることから出産後1年以内の生存率が格段とあがります。
体重1000g以下の赤ちゃんは精神発達遅延・脳性麻痺になる可能性が高く、
また28週未満の赤ちゃんはほぼ100%の確率で未熟児網膜症を発症することがわかっています。
治療によって良くなったり、自然に治癒する場合もありますが最悪の場合は失明してしまいます。
このようなリスクや病気を防ぐためにも、検診をしっかり受けることが必要です。
検診によって切迫早産と診断されれば、自宅安静もしくは入院により出産まで管理されることになりますが、
早産を防ぐためには大切なことです。
我慢できる、時間がない、とりあえず様子を見ようと言った理由で手遅れになってしまうケースもあります。
少しでも異常を感じたらかかりつけの医療機関にすぐに相談しましょう。
早産になる原因とは?
早産になる原因には、子宮内感染、子宮・頸管の異常がある、胎盤の異常、羊水過多、
合併症(妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群)、多胎妊娠、生活習慣の問題(喫煙・ストレスなど)が挙げられます。
子宮内感染とは、ウイルスや細菌によって子宮内に菌が入り込むことです。
膣からの感染だけでなく、歯周病など口内細菌も感染源となります。
妊娠中はホルモンの関係で口腔内の病気になりやすい状態となっているため、歯科検診を受けることを推奨されています。
子宮・頚管・胎盤異常ですが、もともと子宮の奇形などの問題があったり、頸管が短くなってしまうと早産につながります。
胎盤は通常子宮の上部についているのが正常ですが、下のほうについていたり子宮口を覆う形でついてしまうことがあります。
これを低地胎盤、前置胎盤といいます。
妊娠中に胎盤がはがれてしまうこともあります。
この場合は激痛を伴いますが、胎盤がはがれてしまうと妊娠の継続ができなくなるため、
即座に帝王切開での出産=早産となります。
羊水過多とは読んで字の通り羊水が通常より多い状態のことを指しますが、
羊水が多すぎるとお腹も大きくなりすぎ、子宮の収縮が活発になり早産につながることが分かっています。
羊水過多の原因には胎児の問題と妊婦自身の問題がありますが、
妊婦自身の問題として妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの合併症が羊水を増やす原因になります。
妊娠中はこれまで無縁だった病気にもなりやすい状態です。
日々の管理を怠らないように努めましょう。
多胎妊娠による早産は単純に臨月までお腹に赤ちゃんを留めておくことが難しいため、
ほとんどの妊婦が32週~36週での出産をしています。
満36週までの出産は早産となりますが、32週を超えた赤ちゃんは肺の呼吸機能の完成もほとんど終わっているため、
ほぼ臨月の赤ちゃんと同じ状態と言えます。
体重はやや低めですが、障害や病気などのリスクはほとんどありません。
最後に生活環境の問題ですが、喫煙・飲酒が赤ちゃんにもたらす影響はもちろん、過度のストレスは子宮の収縮に繋がります。
里帰り出産による生活環境の変化によって早産を引き起こすリスクもあります。
妊娠中は身の回りの人にも協力してもらい、喫煙・飲酒は避け、
できるだけゆったりとした気持ちで過ごせるようにするとよいでしょう。
早産の前に起こる兆候
早産=出産ですので、早産の前に起こる兆候は臨月での出産時の状態とよく似ています。
お腹の張りが頻発する場合は要注意です。
張ったらすぐに腰を下ろすか横になり安静にしなければなりませんが、
安静にしても張りが収まらない場合、猛烈な痛みや破水をし早産になる可能性がありますのですぐに医療機関に連絡をしましょう。
息が止まるほどの痛みを感じた場合も同様です。
明らかにおかしい痛みの時には子宮内で出血している可能性もあります。
生理のような出血にも要注意です。
鮮血であれば、現在進行形で子宮内で出血していることになります。
茶色い出血であれば古い血液ということになりますが、子宮内で出血していることは明らかですので受診するようにしましょう。
破水してしまうと即入院です。
破れた羊膜から残っている羊水が細菌感染を引きおこし、赤ちゃんに悪影響を与えます。
抗生物質の投与や赤ちゃんへの処置の後、数日で出産となる場合が多いです。
最後に、切迫早産と診断される基準に子宮頚管の短さがあります。
3cm~5cm以上の長さが通常ですが、
それ以下になると赤ちゃんが出てきてしまうリスクが高くなるため自宅安静または入院となります。
下からの超音波エコーによって子宮頚管の長さを見ることができます。
張りが頻発していたりする場合にも子宮頚管が短くなっている場合があります。
妊娠後期は腹部エコーでの検診がほとんどですが、
心配がある場合は追加で下からの超音波エコーも行ってもらうことが可能ですので、医師に相談してみるとよいでしょう。
妊娠7ヶ月でリスク回避する方法
医師から切迫早産と診断されていなかったり、日常生活でも問題がなかったりするようであれば、
適度な運動を取り入れて気持ちをリフレッシュさせるのも早産を防ぐために有効です。
身に感じていなくても、妊娠中はつわりや体のだるさなどで意外とストレスを感じていることが多いです。
働いている人が産休に入ると、1日中家の中にいることがストレスに感じるということもあります。
適度な運動はストレス解消になるだけでなく、出産がスムーズに進むようになるなどいいことがたくさんあります。
お腹が張ってきたら休むことは必要ですが、適度な運動は心身ともによい効果をもたらします。
食生活では塩分・糖分の摂りすぎに注意しましょう。
つわりが終わったとたん濃い味のものや甘いものが欲しくなってしまったりしますが、
妊娠中の体はさまざまな病気になりやすい状態となっています。
中でも塩分の摂りすぎによる妊娠高血圧症候群や糖分の摂りすぎによる妊娠糖尿病は、
早産に繋がるだけでなく赤ちゃんにも悪影響をおよぼします。
出産が終わると治ってしまう病気ですが、そのあと高血圧や糖尿病になるリスクが高くなりますので、
妊娠中の健康管理は重要です。
そして、妊娠中は血液量が増加し体温が高くなるため体がほてるなど暑さを感じやすくなりますが、
体を冷やさないように気をつけるようにししょう。
体の冷え、特に下半身の冷えは血液循環を悪くし、赤ちゃんの成育が悪くなるだけでなく、
子宮が収縮しやすい状態となるため早産のリスクが高まります。
早産を防ぐためには腰や足首などを冷やさないようにして、体の冷えを防ぐようにしましょう。
常に靴下を1枚履いておくだけでも体を温めることができます。
できる限りの対策をしよう!
とにかく早産になることを防ぐためには、日頃の定期健診が重要です。
検診をしっかり受けることによって母体や赤ちゃんの異常をいち早く発見することができます。
またどんな些細なことでも医師に相談するようにし、妊娠中の様々な心配を解消しましょう。
心配事を抱えているとストレスが積み重なり、心身に悪影響をもたらすと共に早産へ繋がることもあります。
無理のない範囲で自分にできる限りの対策をして早産を予防し、十月十日(とつきとおか)の妊娠生活を乗り切りましょう。