近所の神社やお寺に行くのもいいですが、
体調が許すのであれば安産祈願の御利益や逸話が有名な場所に行くのもいいでしょう。
ここでは、戌の日の安産祈願に関して、関西で有名な神社やお寺を7カ所紹介します。
【おすすめ1】住吉大社
大阪府大阪市住吉区にある住吉大社は、全国各地にある住吉神社の総本山で、日本で最も有名な神社の1つです。
大阪の人々からは「すみよっさん」の愛称で親しまれており、多くの人の心のよりどころになっています。
住吉大社では、四柱の神様が祀られています。
底筒男命(そこつつのおのみこと)、中筒男命(なかつつのおのみこと)、
表筒男命(うわつつのおのみこと)の三柱を
「住吉大神(すみよしのおおかみ)」と総称しており、
『古事記』では黄泉の国から帰ったイザナギが穢れ祓いのための禊を行った際に、
海中より出現した神様であるとされています。
このことから、住吉大神は祓いの神として関西だけではなく日本中から篤い崇敬をあつめているのです。
住吉大社が安産の信仰を集めているのは、もう一柱の神である神功皇后(じんぐうこうごう)に由来します。
神功皇后は第四本宮で祀られており、身ごもったまま戦に出陣したものの住吉大神の徳によって無事帰還、
応神天皇を出産したという歴史が残されています。
妊婦さんが安産の帯を締めるのは、この神功皇后の故事にならったものなのです。
住吉大社で安産祈願をすると、授与品として「子まもり」を受け取ることができます。
木でできたころころとしたお守りで、無事に赤ちゃんが生まれたら、赤ちゃんの名前と誕生日を書いて奉納箱に納めます。
【おすすめ2】坐摩神社
坐摩神社は、大阪市中央区にある神社です。
正式な読み方は「いかすりじんじゃ」ですが、一般的には「ざまじんじゃ」と呼ばれることが多く、
地元の人々からも「ざまさん」の愛称で親しまれています。
坐摩神社には「坐摩大神(いかすりおおかみ)」が祀られています。
生井神(いくいのかみ)、福井神(さくいのかみ)、綱長井神(つながいのかみ)、
阿須波神(あすはのかみ)、波比岐神(はひきのかみ)の五柱の総称で、
神武天皇の即位の際に神様の命によって奉斎されたのが起源であるとされています。
安産だけではなく、旅行や住居にもご利益があると言われています。
安産のご利益は、神功皇后が応神天皇の安産を祈願したことに由来します。
近年では明治天皇の誕生に際しても宮中から御祈願を受けており、安産祈願の崇敬を集めているのです。
この神社では、安産祈願の祈祷を本殿で1組ずつ行っており、授与品として岩田帯と鈴守を受け取ることができます。
岩田帯は腹帯のことで、「子を岩のように丈夫に産み育てる」という意味が込められているのです。
【おすすめ3】多治速比売神社
多治速比売神社(たじはやひめじんじゃ)は、大阪府堺市にある神社です。
明治時代までは総福寺と併していたのですが、神仏分離によって神社の役割のみを担うようになりました。
主祭神は多治速比売命(たじはやひめのみこと)です。
女神として安産や縁結び、厄除けの神様として篤い崇敬を集めています。
安産祈願の際に腹帯を持参すると祈祷を受けることができ、「祈安産」の墨書きと朱印を押してもらうことができます。
事前予約が不要で当日申し込みとなるので、体調に合わせて参拝できるのもポイントと言えるでしょう。
多治速比売神社は荒山公園の中央に位置しているため、四季折々の風景を楽しむことができる神社でもあります。
花の名所としても有名なので、楽しんで参拝することが可能です。
【おすすめ4】大蓮寺
大蓮寺は、京都市左京区に位置する浄土宗の寺院です。
関ヶ原合戦が行われた1600年に、専蓮社深誉和尚によって開山されました。
夏には美しい蓮の花が咲くことでも有名です。
大蓮寺という名の通り、シンボルでもある大きな蓮は、
阿弥陀経でも極楽に咲く花であるとされるほど仏教とは関連性の深い花です。
約40品種の色とりどりの蓮が境内を彩ります。
大蓮寺は安産祈願で有名なお寺ですが、その由来はご本尊として祀られている阿弥陀如来像にあります。
この像を彫ったのは慈覚大師という方で、最澄の弟子として比叡山で修行した経験を持っていました。
慈覚大師は晩年になると、比叡山に篭ってひたすら一心に念仏を唱えて雑念を振り払い、
心を統一すると最後に阿弥陀如来像を彫りました。
像の制作が仕上げに入ると、慈覚大師の夢に阿弥陀如来が現れ、
「比叡山から京都に降りて、女性のお産の苦しみを救いたい」とお告げを授けます。
このお告げを受けた慈覚大師は、女人禁制だった比叡山を下山。
阿弥陀如来像は真如堂というお寺に安置され、京都の女性たちから篤い信仰を集めるようになりました。
しかし時代が流れ、応仁の乱によって真如堂は荒廃、阿弥陀如来像も行方知れずとなってしまいます。
そこから更に時が流れ、深誉上人が伏見の町を歩いていたところ、
荒れた一軒のお堂でまばゆく光り輝く阿弥陀如来像を発見します。
像を守る人がいないことに心を痛めた深誉上人は1600年に大蓮寺を建立、この阿弥陀如来像を安置しました。
そこからおよそ100年後、復興した真如堂は失われた阿弥陀如来像を探し、それが大蓮寺にあることを突き止めます。
幕府から阿弥陀如来像を真如堂に変換するよう命じられた大蓮寺の上人が、
二十一日間念仏を唱え続けると、不思議なことに阿弥陀如来像が二つに分離。
大蓮寺と真如堂で一体ずつ安置することになったのだと、現在には伝わっています。
【おすすめ5】伏見稲荷大社
「お稲荷さん」でおなじみの伏見稲荷大社は、京都市伏見区にある神社です。
全国に3万以上あると言われている稲荷神社の総本山で、
毎年初詣では近畿地方最多の参拝者を集めることでも有名です。
御祭神である稲荷大神は、穀物や農業の神様であるとされています。
更に農産物の豊作はお金が増えることを意味することから、商売の神様としても有名です。
「稲荷」と聞くとキツネをイメージする人も多いですが、キツネは神様のお使いです。
穀物を食い荒らしてしまうネズミを退治すること、
キツネの太い尻尾がたわわに実った稲穂を連想させることから五穀豊穣のシンボルとして祀られるようになりました。
敷地内にはいろいろなキツネの像が置かれているので、それに注目してみるのも楽しいでしょう。
安産祈願では「安産祈祷」の紙札とお祓いした腹帯を受け取ることができます。
どうしても参拝できない人のために、郵送で祈祷やお守りの申し込みもできるようになっています。
【おすすめ6】中山寺
中山寺は、兵庫県宝塚市に位置する寺院です。
聖徳太子が創建したと伝わっている、日本最古の観音霊場なのです。
安産のご利益があることで昔から有名で、かの豊臣秀吉も中山寺に祈願して跡取りである秀頼を授かったと言われています。
中山寺では、ご本尊として十一面観世音菩薩像が安置されています。
文字通り11の顔を持つこの像は、
インドの王妃である勝鬘夫人(しょうまんぶにん、シュリーマラー)の姿を写したものであると言われる等身大の像です。
非常に聡明であった彼女は、お釈迦さまからも認められる存在でした。
ある日勝鬘夫人は女性救済の請願を立てることになりますが、
その故事に基づいて刻まれたのがこの三国伝来の十一面観世音菩薩像なのです。
特に懐胎や分娩の苦しみを取り除いてくれると言われています。
中山寺には「鐘の緒」という言い伝えがあり、これも安産のご利益の由来となっています。
平安時代後期、八代目多田城主であった源行綱が、妻の不信心について悪態をついたところ、
それを中山の観音様が鐘の緒をつかって戒めたと言うのです。
鐘の緒とはお堂の鐘を打つための大綱のことで、
古くはその鐘の緒を少しずつちぎることで安産のご利益を受けていたと伝えられています。
中山寺では二種類の安産祈願が行われています。
1つはごく一般的な妊婦さん本人が祈祷を受ける方法。
もう1つはお札を身代りにして祈祷するという方法です。
身代わりのお札への祈祷は10日間行われ、2週間ほどで自宅へ郵送してもらうことが可能です。
【おすすめ7】摩耶山天上寺
摩耶山天上寺は、神戸市六甲山系の摩耶山上にあるお寺です。
宗派は高野山真言宗。
釈迦の生母である摩耶夫人(まやふじん)を本尊とする日本で唯一のお寺なのです。
摩耶山天上寺は、弘法大師空海が開いたお寺です。
中国に渡って密教の奥義を極めた空海は、帰国する際に時の皇帝に摩耶夫人像を一体渡してくれないかと頼みます。
その昔中国で流行病が蔓延し元気な子供が生まれなくなった際、皇帝の夢枕に立った釈迦の教えに従い、
摩耶夫人像を二体作って流行病を祓ったことから、摩耶夫人は女人守護と安産の守り神として信仰されていたのです。
無事摩耶夫人像を受け取った空海は日本に帰国、
摩耶夫人にゆかりが深い天上寺に像を納めて堂を建立、これによって山の名前も摩耶山となったのでした。
腹帯発祥のお寺としても有名です。
腹帯はそもそも妊婦さんの腰痛や冷えを和らげるためのものです。
お参りに来た妊婦さんの一人が、摩耶夫人堂の前の鐘の緒に巻かれた浄布を持ち帰り、
腹帯に使ったことが起源であると言われています。
基本的には妊婦さん本人が参拝して祈祷を受けることになりますが、
どうしても参拝できない場合はインターネットで申し込むこともできます。
関西のおすすめの場所で安産祈願を!
関西には、安産にご利益がある神社やお寺がたくさんあります。
それぞれにご利益の由来や歴史、逸話があるので、単に有名だからと選ぶのではなく、
一度その神社やお寺について調べてみるのがおすすめです。
併せて予約や費用、当日の持ち物などについても調べておくと、スムーズに行動することができます。
有名な神社やお寺は、土日祝日は混み合うことが多いので、その点にも注意しておきましょう。
気になる場所へのお参りは、妊娠中の大切な思い出にもなることでしょう。