では、妊娠五ヶ月目に入ると、母体や胎児にはどのような変化があるのでしょうか?
妊娠五ヶ月目の母子の状態や、過ごし方について具体的に解説します。
妊娠五ヶ月の胎児の状態
妊娠五ヶ月目になると、胎盤が完成するため、母体と胎児の状態が安定する時期に入ります。
胎児の主な臓器は形成され、その働きも活発になります。
体型はまだほっそりとしていますが、人間らしい体つきになり、羊水を飲んだり、おしっこをしたりします。
手足も伸びてくるため、体を活発に動かすことができるようになります。
エコーで指しゃぶりをする姿を確認することができるのもこの頃です。
また、この時期になると聴覚がほぼ完成して、外部の音に反応することができるようになります。
赤ちゃんに積極的に話しかける機会を増やすとよいでしょう。
この頃には、皮脂腺の分泌が開始されることもあり、頭髪や爪などもできてきます。
皮膚が厚くなってくるため、体毛もうっすらと生え始めます。
体毛には、胎児を羊水の刺激から守るための大切な役割があります。
頭髪だけでなく、眉毛やまつげが生えてくるのもこの時期で、指の先には指紋のような渦巻模様が出てきます。
胎児の推定体重は、エコーによって測定した各部位の大きさから計算して求めることができます。
体重の目安は、18週で126gから247gで、19週では166gから328gです。
妊娠五ヶ月の母親の状態
妊娠五ヶ月になり安定期に入ると、胎盤が完成し、
へその緒を通して母体から胎児へ安定して血液が送られるようになります。
それにより妊娠初期に比べると流産の可能性が低くなります。
母体は、子宮が大人の頭位の大きさになるため、お腹がよりふっくらとして目立つようになります。
妊婦健診では、恥骨から子宮の上の端までの長さである子宮底長を測定することがあります。
また、お腹だけでなく乳房もふくらみ始めます。
ウエスト周りや、お尻などにも脂肪がつき始め、全体的にふっくらとした体型になります。
妊娠五ヶ月目に入ると、ほとんどの妊婦さんはつわりが治まります。
ただし中には、またつわりがぶり返してしまう人もいるため、注意が必要です。
つわりが治まることで、食欲も出てきます。
体重が増えやすくなってくるため、妊娠前から太り気味だった人は、
助産師の指導などを受け、体重を増やしすぎないようにし、
痩せ気味だった人は週に0.5キロ増を目安にするとよいでしょう。
中には、視力が落ちたり、目の乾きを感じる人もいます。
また、妊娠12週から15週には胎盤から黄体ホルモンが分泌されるようになり、妊娠を継続させます。
個人差はありますが、この頃になると胎動を感じ始める人もいます。
起こり得るトラブルとは?
妊娠五ヶ月は安定期とはいえ、流産の可能性がゼロではありません。
流産の兆候としては出血が見られます。
また切迫流産を起こすこともあります。
切迫流産は、胎児は子宮の中で生きているものの流産しかけている状態のことを言い、
不正出血やお腹の定期的な張り、下腹部の痛みなどの症状があります。
出血や、頻繁なお腹の張りなどを感じたら、すぐに受診するようにしましょう。
この時期から、貧血に悩む妊婦さんも多くなります。
立ちくらみなどにも注意が必要です。
また、子宮筋腫のある人は、症状が出やすい時期に入ります。
今まで子宮筋腫の症状がなかった人も、初めて症状が出始めることもあるため、
強い下腹部の痛みや長く続くお腹の張りなどの違和感を感じた時は受診するようにして下さい。
他に心配なトラブルとして、常位胎盤早期剝離が考えられます。
常位胎盤早期剝離は、胎盤が子宮から剥がれてしまうことで、発生すると母子共に危険な状況に陥る可能性があります。
妊娠高血圧症候群や、喫煙、外部からの強い刺激などが発生のリスクを高めるとも言われていますが、
予測することは難しいと考えられています。
さらに切迫早産の原因のひとつとなる、子宮頚管無力症にも注意が必要です。
原因ははっきりとはわかっていませんが、妊娠初期から対策しておけば安全に出産することができるため、
検診の際にしっかりと診てもらうことが大切です。
性別がわかるようになるって本当?
赤ちゃんの性別が分かるようになるのは、七ヶ月頃だと言われていますが、
早い人だと妊娠16週位で分かることもあります。
男の子の場合は、太ももの間に、突起物を確認することができます。
エコー写真で突起物を確認した場合、ほぼ100パーセントの確立で男の子であると診断することが可能です。
女の子の場合は、エコー写真に子宮と膀胱を示す黒い点が二つ写ります。
しかし、エコー写真では赤ちゃんの体の向きなどで、判別が難しいことも多く、診断を間違えてしまうこともあります。
必ずしも100パーセントの確立で、性別を診断することが出来るとは限りませんが、
男女の体の差がはっきりとしてくる時期ではあるため、気になる人は医師に確認してみるとよいでしょう。
性別がはっきりと分かった場合、医師の方から教えてくれる場合もありますので、
産まれてくるまで知りたくないという人は、あらかじめその旨を伝えておきましょう。
妊娠五ヶ月を迎えたら気にした方が良いこと
つわりが治まり食欲が旺盛になる妊娠五ヶ月以降は、運動する習慣を身につけることを心掛けて下さい。
無理は禁物ですが、適度な運動は、血行の改善や、むくみ防止、便秘解消や腰痛改善にも効果的です。
安産を迎えるためにも、適度な運動を続けて体力をつけるようにしましょう。
安定期に入ると、母体は脂肪を蓄えやすくなるため、体重が増加しやすくなります。
標準的な体重の人で、妊娠前の食事にプラスして250キロカロリーの食事を摂取することが推奨されていますが、
これはご飯にするとお茶碗1杯程度の量になりますので、
つわりから解放されて食欲に任せて食べてしまうとすぐに超えてしまう量です。
この時期から体重が増えすぎてしまうと、出産におけるリスクが高まりますので、注意が必要です。
また、妊娠五ヶ月目を迎えたら、戌の日のお祝いをしましょう。
戌の日のお祝いは、妊娠五ヶ月目の最初の戌の日に、腹帯を巻いて安産祈願をするという日本独特の風習です。
犬は一度に多くの子供を産み、安産であることに由来する風習であると言われています。
この頃から腹帯を巻くことも推奨されていますが、
お腹が大きくなってくるためクリームなどを使用して妊娠線のケアも始めていきましょう。
妊娠中の食生活のポイント
妊娠五ヶ月目になると、太りやすくなるため、体重管理が難しいと感じる人が増えてきます。
食欲があるからと言って食べ過ぎたり、栄養バランスの乱れた食生活を送るのは禁物です。
この時期の体重増加の目安は、5キロ程度なので、それ以上は増やさないように注意していきましょう。
1日の摂取カロリーの目安は、2000から2250キロカロリーです。
タンパク質や鉄分、カルシウムの摂取を心掛けましょう。
妊娠中は血液の量が増えて鉄分が不足するため、貧血になる人が多いです。
貧血がひどい場合は鉄剤などが処方されることもあります。
食事でも鉄分を多く含む食品を積極的に摂取するようにしましょう。
また、カルシウムの摂取も重要です。
妊娠中は胎児に優先的に栄養を送っているため、母体の栄養不足を起こさないように、
普段よりも意識してひじきやチーズなどカルシウムを多く含む食品を摂るようにして下さい。
母子共に安全に出産を迎えるためにも、栄養バランスのとれた食事をすることが非常に大切です。
仕事を続けることはできる?
妊娠五ヶ月に入っても、仕事を続けることはできます。
しかし、妊娠中はできないこと、避けた方がよいことがあるのも事実です。
長時間の立ち仕事や、重いものを持ち上げたり運んだりする力仕事などは、
体に負担がかかってしまうためなるべく避けた方がよいでしょう。
また、冷房のききすぎている部屋で長時間仕事をすることや、
体調が少しでも悪くなった時にすぐに休憩をとれない環境で働くことは、妊婦にとってはよくありません。
妊娠中の体調や経過には個人差があります。
仕事をいつまで続けるかは、自分の体調と相談して決める必要がありますが、
勤務先にはいつまで働く予定なのかを早めに報告するようにしましょう。
妊娠中も仕事を続けて行くためには、周囲の協力は不可欠です。
体のことを考えて、できないことは明確に伝えて、できることは積極的に引き受けていくようにしましょう。
妊娠五ヶ月は安定期であり、仕事を続けることができる時期ではありますが、妊娠中はいつ体調が変化するか分かりません。
そのことを頭において仕事を続けていくようにしましょう。
徹底した自己管理をすること!
妊娠五ヶ月は安定期に入るとはいえ、切迫流産など様々なトラブルの可能性があります。
特にこの時期から体重を増やし過ぎてしまうと、
妊娠後期に向けて胎児に悪影響を及ぼすトラブルが生じる可能性もあります。
つわりが治まり、食欲が戻ることでついつい食べ過ぎてしまう人もいますが、
妊娠糖尿病や、妊娠高血圧症候群などのトラブルを避けるためにも、
この時期から徹底した自己管理を行っていくこが必要です。
お腹が大きくなり、腰痛や便秘などの体の不調も出始めますが、
無理のない範囲で、散歩などの適度な運動を習慣づけていくようにしましょう。
妊娠後期に入ると、さらに体重が増加しやすくなりますので、
中期から体重管理をしっかり行い、母子共に安全な出産を迎えるための準備をしていきましょう。