しかし、8ヶ月目でも体の各器官は十分に発達しているで、陣痛が起こって出産するということも珍しくありません。
妊娠8ヶ月の胎児はどんな状態にあり、出産時にはどんなリスクが潜んでいるのでしょうか。
妊娠8ヶ月ってどんな状態?
妊娠8ヶ月目にもなると、赤ちゃんの心臓や腸などの器官はほとんど完成している状態です。
この段階まで発育すれば、早産に分類されるものの出産時には大きなリスクが発生することはありません。
ただし体温調整機能や免疫機能など一部の機能がまだ不完全な場合があり、
場合によっては出産後に合併症を引き起こす可能性があることには注意してください。
赤ちゃんの動きが激しくなるのもこの時期です。
手足の器官がしっかりと発達してくるので体内からお母さんの体を叩くなどの反応が見られるようになります。
また聴覚も発達し、音の高低や大小をある程度聞き分けられるようになりますので、
お腹の中の赤ちゃんに語りかけるなどコミュニケーションをとってみましょう。
8ヶ月目にもなると赤ちゃんの動きにも違いが見られるようになり、同時に体重や身長など個人差が発生するようになります。
妊娠8ヶ月で起こる悩みとは?
妊娠8ヶ月は安定期ではありますが様々な悩みがでてくる時期でもあります。
その一つが「お腹が張りやすい」ことです。
この時期になると体は出産に向けて準備するようになり、その一環で子宮が収縮してお腹がはったような状態になります。
基本的には問題があるわけではないのですが、
それが長時間続いたり出血や痛みを伴っていたりした場合は体に異常が起きている可能性が高いので、
なるべく早くお医者さんに相談するようにしてください。
二つ目の悩みは「むくみがひどくなる」ことです。
お腹の中の赤ちゃんが大きくなり、体にかかる負担が増えたことによって発生する場合があります。
こちらも一時的なものですが、数日間続いたり、なにか違和感を感じたりしましたらお医者さんに調べてもらいましょう。
「腰や背中に痛みがでる」のが三つ目の悩みです。
お腹に赤ちゃんがいると、自然と前かがみ体勢になり、腰や背中に負担がかかって痛みが出ることがあります。
そうした症状が出た場合はウォーキングなど軽く運動するようにしてください。
血行が良くなり症状が軽くなることがあります。
四つ目は「便秘や痔になりやすい」という悩みです。
お腹にいる赤ちゃんの重みによって直腸や肛門周辺の血管が圧迫され、
血行が悪くなることによって便秘や痔になりやすくなります。
対処法としては水分をしっかりととって、あまり力まずに便が出せる状況を作ることなどが挙げられます。
妊娠8ヶ月で出産するリスク
8ヶ月目での出産は早産であるため、様々なリスクが発生するようになります。
その一つが呼吸機能の未発達です。
8ヶ月の段階になっても脳や横隔膜など一部の器官はまだ不完全です。
特に横隔膜はその機能が不完全なまま生まれてしまうと、ピクピクと痙攣したような呼吸になってしまうことがあります。
こうした動きをすると不安に思うかもしれませんが、
横隔膜自体は未熟ながらもしっかりと機能していることを意味しているので、実はそれほど心配はありません。
副腎皮質ステロイドを投与するなど、肺機能の成熟を促す治療を適切に行えば自然な呼吸ができるようになります。
二つ目のリスクが未熟児網膜症です。
網膜の血管は妊娠三ヶ月頃から発達し、9ヶ月目ぐらいに完成するのですが、
その前に出産してしまうと網膜の血管が異常に増殖することがあります。
これが進行してしまうと、網膜剥離を引き起こしたり視力障害や失明を引き起こしたりすることがあります。
未熟児網膜症は、進行の早さによって1型と2型に分かれているのが特徴です。
1型の場合はゆっくり進行していくタイプなので自然に治ってしまうことがあるのですが、
2型の場合は進行が早く障害が残る恐れがあるのでレーザーなどを使った治療が早急に必要となります。
8ヶ月で生まれたらどうなる?
妊娠8ヶ月の胎児は2000グラム前後であることが多いので、NICUに入院して経過を観測することになるのが一般的です。
そこで肺の機能や網膜の状態、体温を調整できるかなどがチェックされ、必要に応じて治療が行われるようになります。
治療を行っていき、自分で呼吸や体温の調整ができることや、体重が順調に増えていることなどが確認されれば退院となります。
生まれたときの状態によっては病院から呼吸モニターや様々な装置を借りることになり、
自宅で経過を観察することがあるので使い方をしっかりと学んでおくようにしてください。
妊婦が心がけた方が良い過ごし方
8ヶ月目を迎えた時点での過ごし方についていくつか紹介します。
まず大切なのは「安定期だからといって油断しない」ことです。
安定期に入ると胎盤が完成してホルモンバランスも安定するようになるので、つわりが軽くなるなど体の状態が良くなります。
そうなるとつい油断してしまい、食べすぎてしまうということがあります。
この時期に急激に体重を増やすと妊娠高血圧症候群を発症することがあるので注意しましょう。
「出産の準備」もそろそろ開始してください。
もうすぐ臨月であり入院する時期でもあるので、
入院手続きに必要な母子手帳、健康保険証、診察券、印鑑の4つを必ず揃えておきましょう。
また一定期間入院することになるので、パジャマをはじめ、肌着やカーディガン、スリッパなども必要となります。
さらに洗面用具やお産パッド、歯ブラシおよびコップなども用意しておくと便利です。
すべて揃えた状態で入院すれば様々な状況に対応することができますが、
準備するのが大変な場合はお父さんや家族の方に後から持ってきてもらうようにしましょう。
「母親学級や両親学級に行く」ことも大切です。
母親学級および両親学級は出産したお母さんが安心して子育てできるようにするために、
様々なことをレクチャーしてくれる教室です。
自身が住んでいる自治体の保健所や病院などで行われていることが多く、基本的には費用はかかりません。
お母さんだけでなくお父さんも子育てに参加してもらうう目的で開催している教室もあります。
教室内では先生が教えるだけでなく受講者が実践して学ぶものもあるので、
出産後の子育てになにか不安がありましたら参加してみてください。
正しい過ごし方をしよう!
妊娠8ヶ月は臨月に近く、赤ちゃんの各器官は一通り揃っている状態なので、そのまま出産することができます。
ですが早産に分類されているため、なにかトラブルが発生する恐れがありますので、
無事に出産するまで気を抜かないようにしましょう。
またいつ出産の兆しが見られてもいいように定期検診を欠かさずに受けて、
体を冷やさないようにして、軽く体を動かして体力をつけておくなど、
生まれてくる胎児のことを考えた生活を送るようにしてください。